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10人ニキに名前を付けたのは番組じゃない。あの機能がいつ壊れたか、17,800件で分かった
コラム · MMA

10人ニキに名前を付けたのは番組じゃない。あの機能がいつ壊れたか、17,800件で分かった

コラム2026/08/13 12:00

The audience, not the show, named its own stars. 17,800 comments show exactly when that stopped.

もう、試合しなくていいから一生オーディションしててくれ笑
BD5オーディション動画のコメント欄・いいね9,399

ブレイキングダウンのオーディション89本を、コメントのほうから全部読んだ。大会ごとに同じ条件で200件ずつ、17,800件。いいねが多い順に眺めてるうちは番組の話しか見えてこなかったんだけど、下のほうまで読んで数え方を変えたら、この4年でこの番組の何が壊れたのかがはっきり出てきた。

あの頃、名前を付けてたのは客のほうだった

10人ニキ、醤油ニキ、勾配ニキ、土木ネキ、ファールカップニキ、保育士ニキ、催眠術ニキ。全部、番組が付けた名前じゃない。名乗っても誰も覚えない無名の応募者に、コメント欄が勝手に住民登録していったやつだ。

数えたら笑った。BD6は1大会で新しいあだ名が8個も生まれてる。あだ名の延べ使用はBD6で163回、BD11で174回。オーディションを見に来た客が、片手間に登場人物を作ってたわけ。

だから冒頭の一行、もう試合しなくていいから一生オーディションしててくれ、に9,399も付いたんだと思う。あれ番組を褒めてるようで、じつは自分たちが名付けた連中のほうが本戦の選手より面白い、って言ってる。番組の主役を客が供給してた時期があったんだよ、この祭りには。

BD12で、崖から落ちる

そのあだ名が、BD11の174回からBD12で15回に落ちる。1大会で9割減。まさかと思って別の数え方もした。誰かの名前が3回以上出てくる人物が何人いるか。BD11は34人、BD19は10人。あだ名文化の流行り廃りとは別に、そもそも人が減ってる。

崩れた回のコメントに何が並んでたかというと、不起訴、示談、前田日明。選手の不祥事の件数は減ってると説明する運営側に、不起訴でも示談でも起きた事実は消えないという声が集まった回で。運営に触れるコメントの割合が、前の大会の2.3%から11.0%へ跳ね上がってる。溝口さんの名前だけでも0.5%から7.7%。

つまりこの一回で、コメント欄の主語が入れ替わってる。客が名付けた素人から、運営の人間へ。ここから溝口さんはBD17まで、5つの大会で言及数の上位に常駐しつづける。応募者を差し置いて、だ。

名付けの跡地に、投票が生えた

空いた場所に何が入ったかというと、いらないボタンだった。BD13で3件、BD16で8件、BD17で9件、BD18で19件。逆に新しいあだ名が生まれた数は、BD14もBD15もBD17もBD20もゼロ。名前を付ける遊びが、名前を消す遊びに置き換わってる。

残ったあだ名の使われ方も変わってて、そこが俺はいちばん切なかった。BD17でいちばん伸びたあだ名のコメントは、勾配ニキがプロになったね、手を出さない精神が育ってるし入れ墨も消して好青年になってる、っていう497いいねの一行で。いい話なんだよ。いい話なんだけど、これ発明じゃなくて回顧だからね。BD19の10人ニキも、まだ試合決まってないのおもろい、といじられる古参で。名付けが止まった番組で、昔付けた名前だけが年を取っていく。

6いいねのコメントが、いちばん正確だった

上位8人の顔ぶれのうち、その大会で初めて名前が出てくる人が何人いるか。BD4は8人全員が初登場だった。BD13で2人、BD18では1人。新しい人が出てくる番組から、同じ人を見る番組になってる。

で、この構造をいちばん正確に書いてたのは、伸びてないコメントのほうだった。BD19の263。

もうオーディションじゃないやん。 何者でもない奴が出てきて、スパーで期待感を出し、本戦で何者かになるストーリーを見たいのに。
BD19オーディション動画のコメント欄・いいね263

初期のコメント欄はよく、オーディションなのに面白い試合が観れる、オーディションなのにドキュメンタリーみたい、と書いてた。それが、もうオーディションじゃない、に変わってる。同じ番組に対して、同じ客が。

そして直近BD20の、たった6いいねのこれ。1万を超える票よりこっちのほうが的を射てると思う。

新しい人が頑張る→ひな壇みんなでボコる もうこの新人イジメの構造に飽き飽き リングのカタチもそれに拍車をかけてる としぞうに救われたオーディションだった
BD20オーディション動画のコメント欄・いいね6

敵が消えても、主役は戻ってこなかった

面白いのが直近のBD20で、あれだけ高止まりしてた運営への言及が9.4%から2.7%に落ちてる。溝口さんの名前も6.4%から0.9%。叩く相手がいなくなった。名付けが復活するなら、いちばん条件がいい回だったはずなんだよ。

戻らなかった。新しいあだ名はゼロ。代わりに増えたのがRIZINの話で、外部の団体への言及が3.2%と過去最高。上位に並ぶのも怪物くんと宇佐美選手、あと関西弁の通訳さん。そこに刺さってた一行がこれ。

こう見るとRIZIN選手やっぱり華がありすぎるなぁ、、
BD20オーディション動画のコメント欄・いいね338

読点二つの余韻がきつい。自分のところの出演者と、よそから来た完成品を、客が並べて見比べちゃってる。かつて名もない応募者に名前を付けて主役に仕立ててた欄が、いまはよその団体から借りてきた名前を数えてる。

衰退してるって話をしたいわけじゃない。コメントの中央値いいねはBD20が過去最高だし、返信が付く率も上のほう。残った客の熱はむしろ上がってる。ただその熱が、新しい誰かに向く先を失ってるだけで。

だから次の大会で俺が数えるのは、いいねでもボタンでもなくて、新しいあだ名がいくつ生まれるか。ひとつでも増えてたら、この祭りはまだ客に主役を作らせる余地を残してるってことになる。ゼロ行進が続いてるあいだは、たぶん何を足しても効かない。

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